心理学というと文系のイメージですが、実験が不可欠です。でも、どんなことをするのかというと、分からない人も多いと思います。
そこで、心理学実験の基礎を学ぶ「基礎実験」の様子を紹介します。ここで取り上げる実験は心理学部・学科では一般的なものです。
課題1 鏡映描写
鏡映描写というのは、鏡に映った像を見ながら、行動をコントロールすることを学習する実験です。
それって、何?と思う人も多いでしょう。
この課題は実験に入る前の「経験」をコントロールするためのものです。つまり、鏡に映った像は上下が逆になるので、「手からくる動きの情報」と「目からくる動きの情報」が一致しません。それを使って未経験の世界を作り出します。
まず、実験の目的や方法を教員が説明します

大学院生や学部生のSA(スチューデント・アシスタント)が、みなさんからの質問に答えてくれるなど、手伝いをしてくれます。
実験はグループごとに分かれて行います

実験課題をする人(被験者、実験協力者)、結果を記録する人、時間をはかる人などがいます。
鏡に映った像を手がかりに、星型のルートを、はみ出さないように、たどります。これは右手での訓練の様子です。
実験者(青い服)は結果をシート(緑の円)にまとめながら、実験を進めます。
ひとつの条件が完了です!

ルートからはみ出た回数、スタートからゴールまでにかかった時間などを記録します。
このひとは、はみ出しは少ないですが、どの方向に動いていいか、迷ったところ(緑の円の部分)があるのが分かります。
鏡映描写実験で、何が分かるのでしょうか?
目的によって異なりますが...例えば、
- 利き手で鏡映描写を訓練した後に、非利き手で鏡映描写をした時の成績
- 利き手で前もって訓練しないで、非利き手で鏡映描写をした時の成績
を比較することで、利き手での学習が非利き手に「転移」(訓練の効果が移動すること)するかどうかが確認できます。